絵画考察

日本に限ったことなのか判りませんが、スーパー・ハイパーリアリズムの絵画が人気です。ネット上に溢れかえっているそれらの殆どは写真みたいです。例えば前天皇夫妻を描いた野田弘志氏や静物画日本No.1の青木敏郎氏等とは異なり、写真と同じに描けることが重宝され過ぎ、絵画の本質を見落とし見誤っているのではないか？ と。YouTube等で動画アップされている方々を観ていると、どの様にやったのか私には判りませんが、恐らく殆どが写真からの直接転写。それに濃淡をつけたり(鉛筆や木炭等)、色をつけたり(色鉛筆、水彩、アクリル等)するだけで、ほぼ、ただの塗り絵になってしまっていると思うのです(上手ですが)。今はコンピュータも進歩し過ぎて、贋作を造ることも容易になってきました(絵を描いたことのない人でもフェルメールやダ・ビンチの絵を模写出来ますし、そういう傾向の絵画にプラスアルファした絵が描けてしまいます)。が！ 観る人が観れば解ると思いますが、そういう絵は魂というか、霊感・念というか、そういうモノを全く感じない。上記に挙げた、動画やブログ等を見た方々が、凄い！ 写真を超えた！ と騒いでいても、だから何だって言うの？ と。全部ではありませんが、ただの塗り絵だよ？ 実際、何が描きたいの？ と(本当に凄い人も居ます)。また例えですが、岸田劉生や小磯良平なんかはスーパー・ハイパーでは無いけれど、絵画の上に一枚幕があり、絵がその奥にある。空気も描いているのだろうけど、それとも違う何かが画面にある。現代画家の絵に、そのような理解しにくい何かがある人は限られています。そして現代、ネット動画等であげている方の殆どが、全体を意識して描いていない、一点集中的に仕上げ段階くらいまで描いてしまってから次に移るみたいな描き方。そりゃ上手い人が殆どだけど、それって塗り絵じゃん、みたいな。私はそういう描き手をいくら巧みに上手に描いていても信用しないです。絶対に画面全体の流れというか、描くモノの本質というのが疎かになるからです。で、AIと人の手による絵画の違いは、上記に挙げた部分にあるのではないか、と。しかし、これだけAIが発達した昨今、上手さではAIには勝てなくなるでしょう。ピカソ、マチス、ダリ等辺りから新たな絵画的発見があったかと言うと、大したコトは発見されておらず(特にピカソ)、人の手による絵画は手詰まり、となると